日高自動車道におけるインフラDX・i-Construction先導事務所としての取り組み

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CPDS講習プレゼン

第66回(令和4年度)北海道開発技術研究発表会用

目次

日高自動車道におけるインフラDX・i-Construction先導事務所としての取り組みーデータ共有クラウドサービスを用いた3次元地図上での現場共有についてー

講師:室蘭開発建設部 苫小牧道路事務所 第2工務課 ○島田 智也

以下の資料は、受講者の技術研鑽に役立つことを願い、講師のご厚意により提供いただいたものです。

公開


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只今より日高自動車道におけるインフラDX・i-Construction先導事務所としての取り組み、データ共有クラウドサービスを用いた3次元地図上での現場共有についての発表を始めます、室蘭開発建設部苫小牧道路事務所の島田智也です。
よろしくお願いいたします。

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日高自動車道でのBIM/CIMデータ連携の経緯について説明いたします。
かつての日高自動車道におけるBIM/CIMデータを運用では、BIM/CIMデータの蓄積がうまく行われていない問題がありました。BIM/CIMデータが成果品として格納されるだけであり、格納されるBIM/CIMデータの基準が統一されていなかったため、位置情報や属性情報を図面と照らし合わせながら確認しなければならず、データの確認に大変手間のかかる状況だったのです。これにより、工事において過年度に作成したデータを使わずに、再度新たなデータを作成する受注者が多くなり、過年度のBIM/CIMデータがうまく利活用されない課題が浮き彫りとなりました。
そこで、苫小牧道路事務所では受注者や設計コンサルタントを交えながらBIM/CIMに関する勉強会やwebセミナーなどを実施し、受注者などの意見を集約しました。その後、発注者としてコストをあまりかけずにBIM/CIMの取り組みを行う方法を模索することになり、4次元モデルでの管理を行うことで過年度の3次元データをうまく蓄積しつつ利活用していくことや受注者に対して参考となるBIM/CIMの見本を提供していくことになりました。
これらの取り組みを実現するため、データ連携を行えるクラウドサービスを活用することになり、そのクラウドサービスとしてCIMPHONY Plusを採用しました。

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ここで“CIMPHONY Plus”について説明いたします。
CIMPHONY Plusとは点群データや3次元モデルといった3次元データを管理・共有することのできる、福井コンピュータが提供するクラウドサービスのことです。
CIMPHONY Plusを活用すれば、専用ソフトウェアをインストールすることなく、Webブラウザ上で3次元データを閲覧することができ、このように地図上に3次元データが表示されます。
また、万全なセキュリティが構築されており、安全に活用することができます。
それでは、CIMPHONY Plusを活用するとどのようなことができるのか説明いたします。

▼PowerPoint PAGE-04

CIMPHONY Plusでは、3次元データだけでなく、図面やPDF、写真や動画といったデータを保存することも可能な上、それらのデータが地図上に添付されることから、位置関係が一目で分かります。これにより、データのアクセシビリティが向上し、探したいデータをすぐに見つけることができます。
加えて、3次元モデルの部材ごとに表示期間を設定してタイムラインを作成すれば、3次元モデルに時間軸を加えた4次元モデルによる時系列での管理も可能となります。従来は専用ソフトウェアを購入しなければできない機能ですが、CIMPHONY Plusでは無料で行うことができるのです。

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日高自動車道でCIMPHONY Plusを活用する際の運用形態を説明いたします。
まず、発注者の代行という形で受注コンサルタントがCIMPHONY Plusの契約者となります。CIMPHONY Plusでは3次元データなどのデータを共有するための“現場”という概念が存在しますが、その現場を作成や管理するための権限も受注コンサルタントが持ちます。
発注者や受注者はそれぞれが無料の新規アカウントに登録し、CIMPHONY Plusの現場に招待される対象となることで、CIMPHONY Plusの現場に招待される権限を受注コンサルタントから付与されます。招待される権限が付与されると、CIMPHONY Plusの現場を共有することが可能になります。この時、発注者や受注者はCIMPHONY Plusのほぼ全ての機能を活用できる「作成者」として現場に招待され、CIMPHONY Plusの現場を閲覧するだけでなく、データの登録や編集も行うことができます。
日高自動車道における運用形態では、受注コンサルタントが「管理者」という立場でデータを管理する仕組みとした点が大きな特徴です。管理者を設けたことで効率的なデータ管理が実現しました。その詳細について説明いたします。

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まず、管理者がデータ容量を削減した事例を2つ紹介いたします。
1つ目は点群データの間引きです。当初の点群データはデータ容量が大きすぎるためにクラウドサービスへアップロードできませんでしたが、管理者が点群の間引きをすることでアップロードできるようになり、Webブラウザ上でも比較的軽く操作ができました。
管理者がいることで点群を間引くソフトウェアの導入とオペレーターの人員確保を受注者が行う必要がなくなり、受注者の負担が大幅に軽減されます。
2つ目は動画サイズの調整です。データ量の大きい動画を加工せずに使用すると通信速度に問題が生じましたが、管理者が動画サイズを調整することで動画をスムーズに確認できるようになりました。

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次に、管理者が受注者に対して3次元データの保存方法の統一基準を促した事例を紹介いたします。
こちらにはある土工区間の3次元データを示しています。上の3次元データは受注者が面データのみをCIMPHONY Plusに保存したため、位置情報や属性情報が分からず、図面などと比較しながら位置情報や属性情報を算出する必要があります。これでは大変手間がかかるため、引き継ぐより新たなデータを作成した方が楽だと考える受注者が多く、過年度の3次元データが無駄になり、非効率的となる恐れがありました。
そこで管理者が受注者に対して保存方法の統一基準を促し、面データのみを保存している受注者に対して指示を行うことで、受注者は3次元データの保存方法を変更します。下の3次元データのように位置情報や属性情報も併せて3次元データを保存することで、データを再利用しての更新作業が簡単になり、新たにデータを作成するよりもデータの引き継いだ方が楽になるため、効率的にデータが管理できるようになりました。

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CIMPHONY Plusを導入したことで、3次元データの共有が可能になっただけでなく、データの位置情報が分かりやすくなったことでアクセシビリティが向上しました。また、4次元モデルによる時系列でのデータ管理も追加投資なく可能になりました。
また、管理者を設けたことでデータ容量が手軽に行えるため、パフォーマンスの向上につながりました。同時にデータ容量の削減を管理者が行うため、受注者の負担が軽減し、CIMPHONY Plus導入による経済負担の軽減を併せると、大幅に負担が軽減されました。加えて、3次元データを統一基準で運用することも可能になりました。

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BIM/CIMなどの3次元データをはじめとする各種データを維持管理の場面でも活用し、効率的で質の高い維持管理システムを構築していくことはこれからの大きな課題ですが、
今後維持管理の場面でBIM/CIMデータや点群データの活用が進むと、データ容量が膨大となり、ソフトウェアの動作環境の悪化や格納場所の容量不足によってデータの編集や加工などを行う機会が増えると考えられます。
一方で建設業界は人手不足が深刻な問題となっており、1人あたりの作業時間を減らす働き方改革も必要となることから、益々作業の効率化が求められていきます。/
即ち、人手は減り、作業量は増えるものの、1人あたりの作業時間は減らす必要があるという非常に困難な課題に取り組むことが求められていくのです。/
そこで、クラウドサービスを活用して「データをアップロードする人」「データを管理する人」「データを利用する人」と役割分担をすることで1人あたりの負担を軽減し、働き方改革を実現させていく必要があると考えます。
クラウドサービスとしてCIMPHONY Plusを活用し、管理者を設ける体制とすれば受注者の負担を増やすことなく効率的なデータ管理を実現させることができます。

▼PowerPoint PAGE-10

また、データ容量を削減するために工夫を施すことも必要です。維持管理の活用に向けて大量の道路付属物の3次元モデルを作成し、それぞれに属性情報を付与しようとすると膨大な作業が必要になります。
そこで、仮想マーカーへの属性付与も検討し、データ容量と作業量を削減していく必要があります。
仮想マーカーの検討やデータ共有の基準作成を併せた上で、クラウドサービスを用いた作業の役割分担を行い、効率的にデータ管理をしていくことで維持管理でもBIM/CIMなどの3次元データが活用できると考えます。
さらに、管理者を設けることでスムーズなデータの利活用が可能となり、迅速な対応につながります。

▼PowerPoint PAGE-11

結論です。クラウドサービスを活用して役割分担を行うことで、3つの効果が生まれました。
1つめは「1人あたりの作業時間の削減」です。これにより働き方改革が実現します。
2つめは「データの統一した基準での管理」です。これにより、データをあらゆる工事や業務で活用できるため、無駄なくデータを利用することができます。
3つめは「データ容量の削減」です。これにより快適な操作とパフォーマンスの向上が見込めます。
苫小牧道路事務所はインフラDX・i-Construction先導事務所に位置づけられていますが、発注者として新技術を積極的に導入しつつ、人員配置を工夫することで建設業界の働きやすい環境づくりに貢献しています。万全のセキュリティと高いアクセシビリティが備わったCIMPHONY Plusを活用したデータ連携を推進し、工事や業務の安全で効率的なデータ管理にこれからも取り組んで参ります。

▼PowerPoint PAGE-12

参考文献はこちらです。

▼PowerPoint PAGE-13

ご清聴ありがとうございました。

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